2025年11月、静岡県内の某公立中学校にて、「ウェルビーイング(しあわせを育む力)」をテーマとした出前授業を実施させていただきました。
今回は、1年生・2年生・3年生を、それぞれ異なる認定ナビゲーターが担当し、学年の発達段階に合わせたテーマで授業を行いました。
どの学年の生徒さんたちも、互いの話をよく聞き合い、積極的に対話に参加しながら、ウェルビーイングの大切さを実感している姿が印象的でした。
講師3名の報告をもとに、学年別の授業内容をご紹介します。
【1年生】テーマ:「つながりを大切にするには」(担当:元木香織)
事前に学校側からのご依頼で「人とのつながりの大切さ、自分の気持ちも大切にしながら相手の気持ちも尊重していくことの大切さやを伝える」という要望をいただいておりました。
それをもとに「つながりを大切にするには」というテーマで授業をさせていただき、「幸せな人は、良いつながりを持っている」という研究結果があること、そして良いつながりを持つためのポイントとしてコミュニケーションの取り方についてお伝えしました。
良いつながりを持つきっかけになりそうな「共通点探し」のアイスブレイクで場が和んだところで、コミュニケーションの取り方の3つのタイプについて説明をしました。
具体的なシチュエーションを想定し、「自分も相手も大事にする伝え方」を考えてもらうワークでは、「もし相手が先輩だった時と後輩だった時は対応が変わるかもしれない」とか「自分の感情によって対応も変わるかもしれない」という声も聞こえました。
東京都墨田区内の小学校での出前授業に取り入れている「いいね👍」という言葉とポーズを、こちらのクラスでもお願いしてみました。
中学生には恥ずかしいかと思いましたが、誰かが発言するたびに「いいね」という言葉とポーズ👍が飛び交い、温かい雰囲気で授業が出来ました。
短い時間でしたが、今後も「自分も相手も大事にする伝え方」で良いつながりをたくさん持っていただけたら嬉しいです。
そして静岡県でもこのような授業を行うことができ、感謝しております。ありがとうございました。

【2年生】テーマ:「違いさがしはいいとこさがし」(担当:松永祐子)
中学2年生向けの依頼テーマは「違いさがしはいいとこさがし」。
私たちにご依頼をくださった養護の先生から、クラスの中での価値観の違いからもめ事が生じることもあり、違いを認め合えるようなクラスを目指したいとの希望があったため、価値観を尊重する重要性と、違いがあることから生まれる多様性をポイントに授業内容を構成しました。
ウォーミングアップの時間は、赤青黄色のカードを用意し、「あなたはどっちゲーム」を実施。
質問に対して、回答となる三色いずれかのカードを選び、頭上に上げてキョロキョロ周りを見てもらうゲームをしました。自分が選ぶカードとクラスメートの選ぶカードが違うことが一目瞭然で可視化できるので、それだけで違いを感じることができたのではないかと思います。
その後のメインワークでは、自分の選びたい価値観と、それを選んだ理由を考え、それを共有し合う時間を取りました。
どの生徒さんも躊躇することなくクラスメイトとの対話を楽しんでいました。
この学校は各学年1クラスずつで構成されていて、しかも、幼稚園からずっと同じ顔ぶれで学校生活を送っている生徒さんが多いとのことでした。
家族のようによく知っている仲間なのに、今回のメインワークで語り合う中での新たな気づきが多かったようです。
授業の最後に、数人の生徒さんに感想を聴いてみたところ、ずっと一緒にいるのに、こんな価値観を持っていたんだ、また、同じ価値観を選んでいても、その理由が全然違っていて、すごく面白かったし驚いた、という声を聞かせてくれました。
さらには、これからは「みんな違ってみんないい」を合言葉にしたい、と言ってくれた生徒もいて、私が伝えたかったことが伝わったかなと嬉しい時間でした。
この出前授業がどんどん広がって、ウェルビーイングな生徒たちが増殖し、それが伝播していくことを願っています。これからも微力ながら関わっていきたいと思いました。

【3年生】テーマ:「幸せってなんだろう?」(担当:内野千珠子)
3年生への授業は「幸せってなんだろう?」をテーマに構成しました。
・ 幸せだなと感じることは人それぞれ
・ ネガティブな感情も大切な感情
・ 幸せを感じるポジティブな感情
・ 幸せはいつも自分の身近にある
・ 幸せは伝染する
ワークでは、友達の話を聞いた際に、出前授業のグランドルールである「イイネ!」のポーズを交えて反応することを、できたらいいのでやってみてほしいとお願いしました。
すると、最初の質問「最近『幸せだな』と思ったことはどのようなことですか?」を2人組でシェアする際に、あちらこちらで「イイネ」のポーズと言葉が発せられていました。
授業のスタートからクラス中が幸せな空気に包まれ、見ている私も幸せな気持ちになりました。
普段から話し合うことが身についている様子で、2人組や近くの人とシェアする際には、直ぐに組んで話し合い、拍手をしたりイイネをしたりして、和気あいあいとした雰囲気で参加していただきました。
50分の授業の中で4回のシェアタイムがありましたが、積極的に関わってくださり、生徒の皆さんに講師が助けていただいたと感じるほどでした。
日頃スクールカウンセラーとして活動していて、ネガティブな感情を持つ自分自身のことで悩んでいる児童生徒が多くいることを感じています。
そこで、ネガティブな感情は大切なものであること、けれどそれをずっと持ち続けると心が疲れ体調を崩しかねないので、身近にある幸せなことに目を向けてポジティブ感情を増やしてほしいという願いを込めて授業を構成しました。
また、幸せは伝染するというウェルビーイング研究の結果から、クラスの皆さんで幸せになり、これから訪れる受験シーズンを皆さんで乗り越えて行ってほしい、今日学んだことを今後の人生にも活かしていってほしいという思いもお伝えしました。
授業の最後に「幸せは身近にあるとわかった。これからも幸せだなと思うことに目を向けていきたい。」という感想をいただきました。
この授業の学びを深める質問もいただき、生徒さんたちの真剣に考える姿勢に心を打たれました。
そして、改めて、学校における心理教育の重要性を実感いたしました。
私としては初めての出前授業を担当させていただき、幸福度がさらにアップしました。
学びのある経験となりましたことを感謝申し上げ、ここにご報告いたします。

おわりに
今回の出前授業では、3名の認定ナビゲーターがそれぞれに、“人とのつながり”“違いの尊重”“幸せを感じる力”というウェルビーイングの重要なテーマを、学年に合わせて丁寧に届けました。
どのクラスでも、生徒同士が互いを認め合い、安心して意見を交わせる雰囲気が育ち、ウェルビーイング教育の可能性を改めて感じる時間となりました。
このような機会をくださった学校関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。
これからも、子どもたちが自分らしく、仲間とともに幸福感を育みながら成長していくことを願っています。
※出前授業のご依頼、受け付けております。ご相談ください。