国際ポジティブ心理学会@メルボルンの参加報告!



少し前になりますが、7月18日〜21日にかけてAWEのメンバーと共にオーストラリアのメルボルンで開催されたIPPA第6回ポジティブ心理学世界会議に参加してきました。今回は、その模様をご報告いたします。

 

開催地のメルボルンは、「世界で最も暮らしやすい都市ランキング」で2017年まで7年連続1位を獲得した人口約380万人のオーストラリアの主要都市で、落ち着いた街の雰囲気と親切な人柄が印象的なとても良い街でした。

 

IPPA 6th Positive Psychology World Congress – Melbourne 2019

 

今回で6回目となる世界会議は、世界50カ国から約1600人の参加者で会場がいっぱいになりました。メイン会場では、ポジティブ心理学の著名な研究者による講演があり、他の会場では、心理学だけでなく脳神経学や教育などウェルビーイングに関する様々な領域の分科会発表やポスター発表などが行われました。

 

 

初日は、開会とオープニングの基調講演があり、2日目から本格的に数多くのプログラムが実施されましたが、ご報告は私たちが出席したメイン会場の内容をお伝えします。

 

 

2日目の朝一番のプログラムは、アイルランドのUniversity College Corkのjohn cryanのマイクロバイオーム(細菌叢)とストレスやウェルビーイングとの関係性についての講演。サウスフロリダ大学のshannon Suldoのフロリダの学校で実施したウェルビーイング教育に関する講演。ニューヨーク大学のJonathan HaidtのジェネレーションZの特徴とメンタルヘルスに関する講演。ミシガン大学のKim Cameronの組織におけるポジティブリーダーシップと従業員にもたらす影響に関する講演。オーストラリアクイーンズランド大学のRoy Baumeisterのマインドワンダリングとマインドフルネスに関する講演が行われました。

 

 

この日の講演では、shannon Suldoのウェルビーイング教育に関するお話が、現在AWEで取り組み始めている公立小学校への出前授業プロジェクトと関連する内容であったため大変参考になりました。Suldoは、ウェルビーイング教育の介入をシステムとして捉えて、子どもたちだけでなく教師のウェルビーイングが高まり、親も巻き込むような形で包括的にプログラムがデザインされていました。日本でのウェルビーイング教育を展開して行く際にも、こうしたシステム的なアプローチを取り組んでいく必要があるでしょう。

 

また、Jonathan Haidtが講演の中で使われていた「アンチフラジャイル」という概念も印象的でした。「アンチフラジャイル」は、「反脆弱性」というような意味の言葉ですが、ここで使われているのは、何かに失敗したり適度な負荷が掛かった時に、それと向き合って乗り越え、その後に学びや成長など、何らかの益を得ることを表す概念です。AWEではウェルビーイング・プロセスラーニングという講座を開講していますが、この中でお伝えしている内容はアンチフラジャイルの活性を促す方法です。これは変化の激しい情報化社会において、子育てや人材育成など人の成長に関わる活動を行う上で必修の概念だと思います。

 

 

3日目は、ドイツのグライフスヴァルト大学のWillibald Ruchの強みを生かすことに関する講演、カルフォルニア大学アーバイン校のSarah Pressmanの「ポジティブ感情と運動と健康」に関する講演、「Happify」というアプリケーションを用いたウェルビーイングな行動習慣のサポートについて発表したAcacia Parksの講演、異文化間のウェルビーイングの違いなどに関する研究発表をした啓明大学のMohsen Joshanlooの講演、カリフォルニア大学リバーサイド校のsonja lyubomirskyの幸福の円グラフの再考に関する講演がありました。

 

 

「Happify」は、日本語にも対応しており、スマートホンに「Happify」をダウンロードして使えば、ウェルビーイングの行動習慣を身につけるアシストしてくれます。ICTを活用することで、世界の広い範囲にわたってウェルビーイングの科学的な知見を役立てることができますし、研究も飛躍的に進むと期待されます。

 

4日目は、ワークエンゲージメントに関するウィルマー・シャフェリの講演、コロラド州立大学のMichael Stegerの生きる意味に関する講演、ノースウェスタン大学のJodith Moskowitsのポジティブ心理学的介入がウェルビーイングに与える効果に関する講演、Barbara Fredricsonのポジティブ共鳴に関する講演など、数多くの研究成果に触れることができました。

 

 

今回の講演の中でも特に興味深く感じたのは、Mohsen Joshanlooの研究で、日本を含むアジアの国々では、「幸せに対する恐れ」の感情があることがわかったことです。データからは、移民の多さや人間関係を変える自由度が関係していると推察されていますが、文化的・宗教的なことも踏まえて、幸せになることの心構えに違いがあるようです。

 

 

今回の世界会議では、新たな気づきや学びが多くありました。こうしたことも踏まえて、AWEでは今後もウェルビーイングに関する最新の情報をお届けしていきたいと考えています。

 

記事:渡邊 義