2020年の年頭あいさつ〜計画をたてること〜



新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いします。

 

新年に立てた計画は?

皆さんは、新年を迎えて何か計画を立てましたか?
新年に因んで、よく使われることわざに「一年の計は元旦にあり」というものがあります。
英語にも似た表現として、「New year’s day is the key of the year.(元旦は一年の鍵である) というものがあるそうです。
これは、一年の計画は年始の元旦に立てることが肝要であり、また物事を始めるには最初に計画を立てるのが重要だということを示しているものです。
AWEでは、2020年の学習テーマを「メタ認知」に定めました。
メタ認知とは、自分と自分を取り巻く状況を客観的に捉えることを意味する概念です。
メタ認知を育むことで、世の中の変化をありのままに捉え、より良く考え(well-thinking)、より良く対処し(well-doing)、より良い状態である(well-boing)ためのモノゴトの捉え方が身につくようになります。
AWEは、一年の活動を通じて様々な形で、メタ認知の向上を図るための取り組みをしていこうと考えています。
 

 

 

頭の中の騒がしいサル

何かを実現しようとする時に、計画を立てることが重要であることは今更説明する必要もないでしょう。

しかし、計画を立てることの利点は、単にモノゴトを実行しやすくするだけに留まりません。

ある研究によれば、計画を立てることは心理的にも心を落ち着かせ、目の前のことに集中するための効果があることが明らかになっています……が、これについて触れる前に、目の前の出来事に集中したいと思っても、それを邪魔する頭の中の騒がしいサルのお話しをしたいと思います。心理学の概念に「ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect)」と呼ばれるものがあります。

この概念は、ゲシュタルト心理学者であるクルト・レヴィンと、教え子のブルーマ・ツァイガルニクが行なった実験により導き出されたもので、終わっていない仕事や未達成の目標などの課題に関する記憶は、完了した課題についての記憶に比べて思い出されやすいというものです。

未完了の課題の記憶は、時と場所を問わず頭の中に浮かんでは消えていきます。

こうした現象は、心を不安定にし、目の前の取り組むべき課題への集中を邪魔します。

フロリダ州立大学のロイ・バウマイスター教授は、この現象を「頭の中のサル」と表現しました。

皆さんも「頭の中のサル」に邪魔された経験はありませんか?

休日に終えていない仕事のことが度々頭に思い浮かんで思うように休めなかったり、人と会っている時に片付けなければならないと思っている用事のことを考えてしまったり、もしもそのようなことがあるのなら、それは「頭の中のサル」が騒いでいる状態と言えるでしょう。

 

心の落ち着きと集中を取り戻す

さて、この頭の中のサルは追い払えるのでしょうか?
その方法はあります。フロリダ州立大学の大学院生のE・J・マシカンポとロイ・バウマイスターが行なった実験では、ある課題に対して細かい計画を立てた学生と、そうでない学生では、細かい計画を立てた学生は課題が未完了にも関わらずツァイガルニク効果が見られないことが明らかになりました。またこのことは、別の課題に対する実験でも確認されています。
ロイ・バウマイスターは、頭の中のサルの要求は、「ある作業が終わるまで、それを思い出すように仕向ける」ということでも、未完了の「仕事をすぐに終わらせろと、意識的な脳に小言をいっている」のでもなく、「無意識が意識的な脳に計画を立てるように求めている」のだと説明しています。
実験の結果からは、細かく計画を立て見通しが立てば、頭の中のサルはいなくなり、心が安定し、目の前のことに集中できるようになります。

 

効果的な計画には特徴がある

最後に効果的な計画とはどのようなものかをお伝えして終わりたいと思います。

私のカウンセリングの恩師の一人である元セービア大学教授のロバート・ウォボルディング博士は、効果的な行動計画の特徴として次の13の特徴を挙げています。

1.欲求を充足させる行動(内発的動機を満たすもの)
2.簡単な計画
3.現実的に達成可能な計画
4.何かを「やめる」のではなく、何かを「する」計画
5.計画の実行者が自分だけでできる計画
6.具体的な計画
7.繰り返す計画
8.すぐできる計画
9.現実的な計画
10.過程中心の計画
11.評価された計画(実行前に効果性を検討する)
12.揺るぎない計画(決意を確認する)

13.強化された計画(成果が感じられるようにする)

これらを参考に新年の願いに対する計画を立てれば、落ち着いた気持ちでモノゴトに取り組みやすくなり、良い実を結ぶことができるのではないでしょうか。

 

AWEは、「心と身体と社会的なウェルビーイング(良き状態)を創造する」という理念に基づいて、「ウェルビーイングに関する科学的知見、理論、手法を活用し、自らの幸せな人生を自ら創り出せる人を増やす」という活動目的のために、様々な取り組みを行なってまいります。
本年もご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

 

〈引用文献〉
『WILLPOWER 意志力の科学』ロイ・バウマイスター,ジョン・ティアニー(著),渡会圭子(翻訳). インターシフト
『リアリティ・セラピーの理論と実践』ロバート・ウェボルディング(著),柿谷正期(訳),アチーブメント出版

 

一般社団法人ウェルビーイング心理教育アカデミー 共同代表理事 渡邊 義