新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
新年に立てた計画は?
頭の中の騒がしいサル
何かを実現しようとする時に、計画を立てることが重要であることは今更説明する必要もないでしょう。
しかし、計画を立てることの利点は、単にモノゴトを実行しやすくするだけに留まりません。
ある研究によれば、計画を立てることは心理的にも心を落ち着かせ、目の前のことに集中するための効果があることが明らかになっています……が、これについて触れる前に、目の前の出来事に集中したいと思っても、それを邪魔する頭の中の騒がしいサルのお話しをしたいと思います。心理学の概念に「ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect)」と呼ばれるものがあります。
この概念は、ゲシュタルト心理学者であるクルト・レヴィンと、教え子のブルーマ・ツァイガルニクが行なった実験により導き出されたもので、終わっていない仕事や未達成の目標などの課題に関する記憶は、完了した課題についての記憶に比べて思い出されやすいというものです。
未完了の課題の記憶は、時と場所を問わず頭の中に浮かんでは消えていきます。
こうした現象は、心を不安定にし、目の前の取り組むべき課題への集中を邪魔します。
フロリダ州立大学のロイ・バウマイスター教授は、この現象を「頭の中のサル」と表現しました。
皆さんも「頭の中のサル」に邪魔された経験はありませんか?
休日に終えていない仕事のことが度々頭に思い浮かんで思うように休めなかったり、人と会っている時に片付けなければならないと思っている用事のことを考えてしまったり、もしもそのようなことがあるのなら、それは「頭の中のサル」が騒いでいる状態と言えるでしょう。
心の落ち着きと集中を取り戻す
効果的な計画には特徴がある
最後に効果的な計画とはどのようなものかをお伝えして終わりたいと思います。
私のカウンセリングの恩師の一人である元セービア大学教授のロバート・ウォボルディング博士は、効果的な行動計画の特徴として次の13の特徴を挙げています。
13.強化された計画(成果が感じられるようにする)
これらを参考に新年の願いに対する計画を立てれば、落ち着いた気持ちでモノゴトに取り組みやすくなり、良い実を結ぶことができるのではないでしょうか。
AWEは、「心と身体と社会的なウェルビーイング(良き状態)を創造する」という理念に基づいて、「ウェルビーイングに関する科学的知見、理論、手法を活用し、自らの幸せな人生を自ら創り出せる人を増やす」という活動目的のために、様々な取り組みを行なってまいります。
本年もご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
〈引用文献〉
『WILLPOWER 意志力の科学』ロイ・バウマイスター,ジョン・ティアニー(著),渡会圭子(翻訳). インターシフト
『リアリティ・セラピーの理論と実践』ロバート・ウェボルディング(著),柿谷正期(訳),アチーブメント出版
一般社団法人ウェルビーイング心理教育アカデミー 共同代表理事 渡邊 義